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2016年3月21日月曜日

【備忘メモ】これまでの取り組み

市民ランナーがマラソンに取り組む場合、様々な制約があります。
仕事やプライベートの隙間に走る時間を確保しなければなりません。
自分の置かれた環境で、持続可能な練習方法を見つける必要があります。

マラソンのトレーニングは練習、休養、栄養が三位一体です。
練習によってダメージを受けた身体を、休養・栄養によって修復し、超回復させる。
練習による『破壊』と休養、栄養による『修復』で『超回復』させる。
特に、この2、3年は、このサイクルを愚直に反復・継続してきたつもりです。

現在の自分の置かれた環境でしかできない練習もありますが、失敗マラソン以降に継続してきたことを、練習、休養、栄養に分けて備忘メモ的にまとめてみます。
(超長文注意!!)


1.練習で継続してきたこと

(1) 連続で長時間走る
(2) 朝食前に走る
(3) ミトコンドリア増強のポイント練習を加える
(4) 不利な条件で練習する
(5) 弱い部分を鍛える
(6) ケアをする

(1) 連続で長時間走る

マラソン終盤の脚の疲労対策には、脚の毛細血管を増やすことが必要と考えました。
毛細血管が増えれば、酸素や栄養素の供給能力、老廃物の排出能力が増えます。
ふくらはぎは第二の心臓とも呼ばれています。

ふくらはぎの毛細血管を鍛えることは加齢とともに衰退していくと言われる心臓拍出能力を補う意味でも非常に有効だと考えています。
マラソンでは、脚を作ることが大事だと言われますが、個人的には、『脚を作る』=『脚の毛細血管を発達させる』ことだと思っているくらいです。

毛細血管を増やす方法は、できるだけ長い時間、運動を続けることです。

LSDが良いとされているようですが、時間的には90分以上走ることが良いようです。
そして、分けて走るより、1度に長く走ることが重要だということ。

一昨年7月から和歌山単身生活となり、通勤時間が激減したため、通勤前に走る時間が増えました。
現在は毎朝120分走ることを自分に課して続けています。
時間の使い方という意味でも効率が悪いので、2部練もやめました。

自分自身で感じている効果は、ふくらはぎが疲れにくくなったということ。

脚の痙攣なども起きにくくなったと感じています。

(2) 朝食前に走る


マラソン終盤のエネルギー切れ対策のためには、エネルギー代謝の改善が必要です。

身体に蓄えられるグリコーゲンの量だけでは42.2kmを走れません。
それが、35kmの壁の原因の一つだとすれば、脂肪を利用する必要があるということです。
できるだけ脂肪で走る身体にする必要があると考えました。

このために、徹底的に朝の時間帯を利用し、起床後、エネルギーを取らずに走るようにしました。
練習会やレースを除き、日々、一人で行う練習はポイント練習も含めて全て起床後、食事前に走っています。

この場合、エネルギーは前日の夕食までに身体に蓄えられたグリコーゲンや脂肪です。
この状態で有酸素運動を続ければ、脂肪の利用率が格段に上がります。
そして、これを継続していくことで、
・身体の脂肪を燃焼させる能力が向上する
・有酸素運動中の脂肪の利用率が向上する
と思っています。

継続することで、走れる時間と距離が伸びてきました。
この効果は非常に大きいと感じています。
無給水・無補給でフル以上の距離を何度も走っています。
サブ3も経験しています。
最長距離は4時間jog(50km強)です。

デメリットは、朝は代謝が低く、パフォーマンスが低調になること。
練習は人との競走ではないし、そういうものだと割りきってしまえば問題ありません。
気をつけているのは、血流量不足にならないように、走る前に水(ミネラルウォーター)は絶対に飲むようにしています。


マラソンレース中にエネルギー補給をする不安はなくなりました。
レースではゼリーなどは携帯しませんし、補給もしていません。
ゼネラルドリンクによる水分補給だけで走り切れるようになりました。

(3) ミトコンドリア増強のポイント練習を加える

マラソンは究極の有酸素運動です。

マラソンのレースペースを上げるためには、有酸素運動の限界値であるAT(無酸素性作業閾値)やLT(乳酸性作業閾値)を高める必要があります。
有酸素運動の代謝(エネルギー変換)はミトコンドリアで行われます。
ATやLTを高めるためには、ミトコンドリアの増強が必要になります。
では、ミトコンドリアを増強するためにはどうすればよいのか。

練習以外では、飢餓状態を作る、タウリンが含まれる食べ物(タコやイカ、カキ等)を食べる、冷水を浴びる等の方法があるようです。

毎日、練習をしていると、断食などによる飢餓状態を作ることはなかなか難しいです。
ただ、自分の場合、起床後、何も食べずに走っているので、ほぼ毎日、10~18時間程度の『飢餓状態』を確保できています。

練習によってミトコンドリアを増強するためにはどうすれば良いのか。

閾値に近い強度で運動を続けること、強度の高い負荷をかけることが良いとされています。
マラソンシーズンは、1週間のサイクルにこの2種類の練習をポイント練習として組み入れています。

①ATペース距離走

閾値に近いペースでの長距離走です。
現在の自分の中での定義は、キロ4分を切るペースで30km以上を走るものです。
さらに、35kmの壁を意識して、+αの距離を走るようにしています。
マラソンペースより遅いペースのため、強度は高くないですが、単独走ではかなり精神的にきついです。
これでも十分に効果があります。

②短距離の全力走

自身の最強度の負荷をかけるため、jogの間に短距離の全力走を入れています。
自分の中では唯一のスピード練習であり、一番重要な練習です。

現在実施しているのは、序盤のjogで身体が動くようになってから、150mの全力走を500m毎に10本程度入れるものです。
ショートインターバルに近いですが、間の繋ぎjogは長めです。
1本1本のタイムも測っていません。
間のjogのペースも気にしません。
大事なのは1本1本をしっかりと全力で走ること。
脚を速く動かすことや心肺機能をしっかりと追い込むことに集中しています。

距離も自分が全力で走れる距離であれば問題ないと思っています。
150mにしている理由は、100mでは加速してすぐに終わってしまい、200mでは我慢し切れず、失速してしまうから。

この練習の良いところは、単独練習でも追い込めるということ。
距離は短く一瞬ですが、どんな長距離レースよりも速いペースで走る練習をしているということも重要だと思っています。
この練習の最大の目的はミトコンドリアの増強ですが、心臓の拍出効果の向上、肺の換気能力の向上、普段使わない速筋を使うことでの神経系への刺激など副次的な効果も大きいと思っています。

さらに、全力走の終了直後もそのまま走り続け、AT走へ移行することも多いです。
こうすることで、乳酸利用能力の向上、疲労してからの粘りに繋がると思っています。

そして、これら2種類のポイント練習で大事なことは、ポイント練習の前に身体を回復させておくこと。
ポイント練習によって『破壊』させ、受けたダメージを『修復『し、『超回復』させてから次のポイント練習に臨むようにしています。
週末がレースの場合にも、できるだけこのサイクルを守っています。

(4) 不利な条件で練習する


不利な条件で練習をしていると、レースで走るのは相対的にすごく楽に感じられます。
奨励できないものもありますが、不利な条件を列挙してみます。

①早朝に無給水・無給食で長時間走る
意図は前述のとおりです。
副次的な効果ですが、レース当日に朝食を食べて走るとすごく楽です。
レース中に給水できるとすごく楽に感じられます。
朝早いレースでも苦になりません。

②ポイント練習の距離走をノーアップで実施する
理由は時間がない、時間が勿体ないからです。
褒められたものではありません。
整列のため、ノーアップでマラソンを走ったこともありますが、市民マラソンで長時間スタート前に待たされる場合にも動じなくなりました。

③練習はjogシューズで走る
練習ではソールの厚い(安物の)jogシューズで走っています。
最大の理由は、ほぼ100%ロードで練習をしており、故障をしないためです。
毎日20km以上走っていると、すぐにシューズが駄目になるという理由もあります。
ソールの厚いシューズは重たいため、レースの時にレースシューズを履くと、すごく軽く感じられます。

④マスク着用で走る
晩秋から春先限定ですが、ポイント練習を含めて、サージカルマスクを着用して走っています。
呼吸が苦しいだけで、意味がないという話もあります。
自分の実感としては、少なくとも、レース時にマスクなしで走ると呼吸が楽に感じられます。

(5) 弱い部分を鍛える

マラソンを全力で走ると、レース後に身体が痛くなります。
当初は全身筋肉痛でした。
その後、走り込んでもレース後に痛くなるところがあることに気付きました。
しかも、疲れがなかなか取れません。
痛くなるところは相対的に弱いところであり、走るだけではなかなか鍛えられないところだという結論に達しました。
このため、毎日の練習(走った直後)にドリルと補強を加えるようになりました。
自分の場合、現在は体幹、内転筋、臀部等を鍛えるようにしています。
地道な努力ですが、特に、内転筋は疲労しにくくなってきたと感じています。
結果的に、故障回避にも寄与しているのではと思っています。

(6) ケアをする

故障をしないように、疲労を早く回復させるためにしている唯一のケアは、入浴時の浴槽内でのストレッチです。
浴槽に浸かりながら臀部、大腿部を中心に伸ばしています。
これは、現在の単身赴任生活でしかできないことですが、単身部屋では前日の残り湯に浸かって練習後、朝食前にストレッチをしています。



2.休養

この2年半近く、雨の日も風の日も、徹夜明けの日も走ってきました。
少し異常ともいえます。
その一方で、2部練習も1度もしていません。
練習は全て朝1回のみです。

完全休養をしていませんが、1日1回の練習のため、24時間近く休養できます。
24時間で回復しないダメージはレースやポイント練習の間の繋ぎ練習(jog)を調整することで疲労を取っています。
どうしても疲労が取れなければ、ポイント練習を飛ばしています。
練習は破壊と超回復の継続ですが、回復過程でさらに破壊するとパフォーマンスが下がるからです。

完全休養しないことの是非はともかく、1日1回で長めに走る。
分けて走るより1回で長く走る方がマラソン練習として効果が高いと確信しています。

効率という意味でも、確実に練習できる朝に練習してしまった方が良いと思っています。
2部練で夕方に練習を残しておくと、仕事やプライベートで予定が狂うこともありますし、走らねばと落ち着かないことにもなるからです。


3.栄養と食事

走るエネルギーは全て栄養から得ます。
そして身体は食べた物からできています。
『栄養』はとても大事です。
多分、ランニンググッズよりも食べ物に一番、お金を使っています。
ブログに備忘メモで残している通り、基本的には、食べたい物を食べています。
気をつけているのは、5大栄養素をバランスよく摂ること、アルコールやジャンクフードを控えること、カーボローディングをすることです。

(1) 5大栄養素

①炭水化物
走るエネルギーである炭水化物を控えることはあり得ません。
いつもご飯やパスタ、うどんなどはいつもモリモリ食べています。

②たんぱく質
たんぱく質は魚や大豆、卵から摂ることが多いです。
納豆や豆腐はほぼ毎日食べています。
魚はできるだけ青物の魚を食べるようにしています。
肉も好きですが、ポイント練習やレース後のご褒美で食べることが多いです。
疲労回復にアミノ酸補給が良いので、アミノバイタルプロを補給することもあります。

③脂肪
あまり意識していませんが、自炊ではオリーブオイルを使っています。
サラダにもオリーブオイルをかけて食べています。
青物の魚をよく食べるので、EPAとDHAはよく摂っている方だとおもいますが、サプリメントも摂っています。

④ビタミン
一番、意識しているところです。
運動にエネルギーを使うので、代謝のための酵素が使われ、活性酸素が発生します。
毎日走っているので、意識して活性酸素除去効果のある食材を食べています。
和歌山単身生活になってからは、野菜が安いこともあり、トマトやアブラナ系の野菜(ブロッコリー・わさび菜・菜の花)、ほうれん草や小松菜などをよく摂っています。
マラソンシーズンは柑橘系の旬の時期が重なるので、和歌山単身生活になり、果物もよく食べています。

⑤ミネラル
特に、意識していませんが、多分、上記要素を摂ろうと思えば、ある程度、補給できていると思っています。
ポイント練習や長い距離を走った後(塩が出ているような状態)は、ミネラル補給をイメージしてご褒美がてらナッツなどをよく食べます。

(2) アルコールとジャンクフード

①アルコール
今シーズンのマラソン前からは、アルコールを控えました。
過度のアルコールは筋肉の再生を妨げるという理由からです。
適度であればいいのでしょうが、適度で終わらないことが多いのがアルコール。
アルコールなし生活にも慣れてきました。

②ジャンクフード
スナック菓子やインスタント食品も控えています。
スナック菓子は、マイルドドラッグと呼ぶ人もいますが、麻薬性があるので買わないようにしています。
食事でお腹を満たすようにしています。
ただ、某会社の株主優待で即席麺のセットが1年に2回送られてくるので、それは食べています。

(3) カーボローディング

フルマラソン前のカーボローディングは大体、2、3日前から意識的に行っています。
30km以下の距離では、ガス欠になることはないので、必要ないと思っています。
食事における炭水化物の量や割合を増やしています。
合わせて行うのは、有酸素運動の代謝が行われる、ミトコンドリアのクエン酸回路を働かせるため、クエン酸をたっぷりと補給すること。
特に、レース前日から当日は、100%のグレープフルーツジュースやオレンジジュースを飲むようにしています。
レース当日の食事は腹持ちが良いご飯かお餅を食べるようにしています。


4.来シーズンに向けて

これまでの練習は完全にマラソンに特化した練習でした。
基本は、今の環境(和歌山単身生活)が続く限り、今の取り組みをしばらく続けるつもりです。
その一方で、もう一段上のレベルに行くためには、年齢とともに上がらなくなる最大心拍数を上げられるようにする練習、高心拍数で耐える練習も必要なのではとも感じています。
トラック練習や駅伝練習のように、閾値を超えて長く走るポイント練習(レペティションやロングインターバル)をする必要性も感じています。
来シーズンに向けて、試行錯誤しながら頑張ろうと思います。

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8 件のコメント:

  1. 練習・休養・栄養と独自に考えられたトレーニングを重ねられているので、すごく参考になります。
    昨年末から、出来ることはなるべく真似させて頂いて、先日のソウル国際マラソンではSBとコースベストで走ることが出来ました。
    これからの、トレーニングの進化を楽しみにして、また参考にさせて頂きます。

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    1. 特に、この1年位は自分の置かれた環境でできるMAXに近い練習を続けてきました。時間を伸ばすには限界があるので、あとできることは質を高めることだと思っています。
      マラソンでは心拍数をいかに上げずに走るかが重要ですが、年齢に抗って追い込んだ時に心拍数を上げられるようになりたいと思っているので、それが来シーズン前半のテーマです。

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  2. 何回か繰り返し読ませてもらいました。
    直近2回ベスト更新出来なかったので、Nanwan Joggerさんのやられてる全力走を新しい練習方法してとり入れてみます。
    フォーム等で特に気をつけてられる所がありましたら、教えていただけまえんでしょうか?

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    1. jogの時で気を配れる時は、ふくらはぎを使わず、太腿を使って、できるだけ衝撃を受けない走り(意識として脚を前に置きに行く感覚)を心がけているくらいです。
      全力走の時は脚を速く動かすことを意識しているくらいです

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  3. 初めまして
    非常に参考になる記事をありがとうございます。
    私も繰り返し拝読させていただきました。
    来シーズンの2時間50分切りを目指して、Naniwan Joggerさんのノウハウを取り入れたいと思います。

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    1. かなり特殊な練習方法なので、本当に正しいのかと思うところもあります。ただ、マラソンは故障せず継続すれば身体能力の差(例えば若い人にかなわない心肺機能など)を補える部分が大きい種目だと思っています。今の環境がいつまで続くかも分からないし、これからも少しずつアレンジしながら練習を継続していきたいと思っています。お互いに頑張りましょう!!

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  4. Bookmark に保存して、何度も何度も読み返しています。
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    1本1本のタイムも測っていません。
    間のjogのペースも気にしません。
    大事なのは1本1本をしっかりと全力で走ること。
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    私も最近真似てやるようにしています。
    一度サブ3を達成してから、最近は行き詰ってるので、脚にも刺激をどんどん入れていきたいです。

    福岡国際マラソンのお写真で、コンプレッションソックスを履かれてましたが、レース時、普段のトレーニングも着用されてますか?

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    1. ショートインターバルもどきは全力であることが、トレーニングの原理・原則(過負荷の原理、漸進性の原則)にも合致しているのではと勝手に解釈しています。

      マラソンレースでは着圧の高いSKINS A400というレース用のカーフタイツを必ず着用しています。
      ただ、びわ湖毎日マラソンでは気温が高く、走った後にかなり発汗していたので着用したのは失敗でした。
      (実際、ほとんどのランナーは着用していませんでした)

      トレーニングでは着用していませんが、普段の練習では秋から春先まではロングタイツを履いてjogやポイント練習をしています。

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